rk-baryoのゆるっと日記

日常生活、ビジネス、旅などについてゆるく語るブログ

「『自分の時間を取り戻そう』(2016)ちきりん」を読んで

世の中では忙しく動き回っている人がとても多い。正社員として仕事をしながら家事をこなすワーキングマザー、会社である程度の立場になって仕事詰めの毎日を送る人、周囲に期待に応えるために、とにかく何でもかんでも頑張ってしまう人などがいっぱいいる。でも、それが原因で自分の本当にやりたいことや興味のある分野に対して時間が使えないのであれば本末転倒だ。本書はこのような状況に少しでも心当たりがある人には是非読んでほしい一冊だ。

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少ないインプットでより大きな成果を目指そう

本書の一番のテーマは「生産性」。同じ成果を上げるためにどれだけ少ないインプット量でそれが達成できたか、がとにかく重要だと説いている。学生であれば、勉強時間(インプット量)をあげたらテストの点数(成果)が上がるのは当たり前(まあそう単純でない場合もあるけど)。サラリーマンであれば、残業して長時間働けば捌ける仕事も多くなる。このように、インプット量を高めて成果を上げたことを賛美する日本人独特の風潮に疑問を投げかける。

一見、子供が長い時間勉強していたら、「たくさん勉強していて偉い」と褒めてあげたくなるが、この考えは苦労=美徳と考える日本人の前時代的な考え方である。本来は、いかに少ない勉強時間でテストの点数を高くできたか、という視点で評価しなければならない。この考え方こそ、生産性を主軸にした考え方だ。勉強や仕事に限らず、全ての物事に対して「アウトプット÷インプット」の割合の高さという観点で見ると、おのずとやるべきことが見えてくる。つまり、不要な作業を徹底的に排除し、やるべきことを可能な限り自動化して自分が手を動かす作業を極限まで減らすことが必要になる。

生産性は残業しないための考え方としても重要

特に会社で働くサラリーマンにとって、生産性はとても切実な問題となる。少ない時間でより多くの成果を上げれば残業せずに済むし、集中して短時間で仕事を切り上げることで生活にメリハリも出てくる。これを実現するためには、仕事に順位をつけることが重要だ。今日必ず終わらせなければならないこと、今日できれば良いなと思うこと、いつやってもいいもの、という具合に。だから、今日必ず終わらせなければならない仕事さえ終われば、その日はいつでも帰れる状態にしておき、次に優先度が高いものから先行して着手する。全ての仕事を完璧にこなそうとすると、とても時間が足りないのだ。私は前職で完璧主義な上司の下で苦しんだが、まさにこのいい意味での「手を抜く」という発想がなかったのだ。マジメすぎがバカを見るということを痛いほど思い知らされた。

かといって生産性だけを基準にするのも寂しいもの

とはいえ、生産性という観点だけで世の中全てを割り切ってしまうのも味気ないものだ。一見無駄だと思うようなことでもやってみたら意外と楽しかったり、多くのことを学べたりすることもあるからだ。合理性やスピード重視して工夫すれば、仕事や生活の生産性は格段に向上するだろう。だが、今までのように無駄だと思われていた作業から偶然得られるアイデアや、新しい発見なども同時に失ってしまうのではないかと思う。それはとても勿体ないことだと思う。
可能な限り無駄をなくして生産性を高めるというのは確かにとても大切なことだ。それは仕事であっても日常生活であっても変わらない。だが、今まで生まれた革新的なサービスの中には、無駄が多かったからこそ生まれたものがたくさんある。今後、そのようなサービスによって無駄が少なくなった世の中において、さらに生産性を向上する需要が高まるのかは疑問だ。その頃になったら、敢えて無駄を楽しむためのビジネスすらも生まれるかもしれない。人間というのはないものねだりな生き物なのだ。

 

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